日亜化学にとっては簡単に開発できた白色発光ダイオードであるが、この白色発光ダイオードは、市場がまさに望んでいたものであった。携帯電話やデジタルカメラの液晶画而のバックライト用、ディスプレイ表示用、照明用として、予想もしなかったような爆発的な売れ行きを示し、従来の発光ダイオード市場に上乗せする、新たな白色発光ダイオード市場を開拓していった。青色発光ダイオードと白色発光ダイオードを含む系発光ダイオードの市場規模は、2004年には金額ベースで、従来の赤色から緑色発光ダイオードのQQと系および発光ダイオードの、6倍にもなった驚異的な数字である。しかもそのほとんどは白色発光ダイオードであった。あらたな大きな市場を創成したのだ。日亜化学自体はどうなったのであろうか。蛍光体事業が主力であった1990年当時の日亜化学の従業員は350人、売り上げは161億円ほどの中小企業であったが、白色発光ダイオード事業が軌道に乗った2004年には従業員2721人、売り上げ2064億円の大きな企業に急成長した。社会に対しても、企業にとっても、まさにイノベーションが起こったのだ。白色発光ダイオードの効率は、すでに白熱電球を越え、蛍光灯に近づきつつある。白熱電球はエネルギーの90%以上が熱になってしまう効率の悪い明かりであり、効率のよい蛍光灯は水銀という環境汚染物質から逃れられない運命にある。白色発光ダイオードの効率は、まだまだ改善されていく段階にあり、高い価格も量産効果によって下がっていくことは容易に予測される。演色性の問題も、今後出てくる新しい技術によって徐々に解決されていくであろう。省エネルギーや環境保全がますます重視されるようになるであろう将来、白色発光ダイオードが「第4の白い光のイノベーション」になることは確かであろう。