「せっかく薬が効いているのですから、今のうちに十分寝ましょう」と、私たちは彼女をベッドに誘導しようとします。実際、今の彼女にもっとも必要なのは休養であり、眠った後の彼女は、少し思考がまとまっていました。しかし彼女は、がんとして応じず、ナースステーションの椅子に、ぐらぐらしながら座りっぱなし。「だって、眠って何か変わるんですか?眠ったって、私は起きればひとりぼっち。何にも変わらないんですよ!」まるで酔っぱらいのようにくだを巻きながら、私たちにすがってくるのです。「夫に帰ってきてもらいたい。離婚したいなんて、嘘だった。あの人の気持ちを確かめたかっただけなんです。夫を呼んで、夫を呼んで。もう一回やりなおしたい!」こんな時私たちは、努めて冷静に彼女に接します。